筆について
- 穂先の長さによる分類
- 短鋒(短い)/中鋒(中間)/長鋒(長い)
- 毛の硬さによる分類
- 剛毫(硬い)/兼毫(中間)/柔毫(柔らかい)
一般に、楷書や篆隷を書く場合は穂が長すぎず硬めの筆を、行草を書く場合は穂が若干長く柔らかめの筆を用います。
初心者の方には、幅広い書体に使える中鋒・兼毫がおすすめです。いずれも、穂先のきれいにそろった筆を選ぶことがポイントです。
筆の扱い方
大筆を使い始めるときは、穂を固めている糊を落とす必要があります。穂を流水につけ、先端から付け根にかけて指で揉みほぐしましょう。
小筆の場合は水につけず、穂の先端の1/4ほどを指でほぐして使います。
使用後、大筆は水で根元まで洗い、墨をよく落としましょう。乾かす際は、風通しの良い日陰で穂を下向きにして吊るしておきます。
小筆は使用後洗わずに、水で濡らした布や紙で墨を落とします。
紙について
画仙紙は原料や製造方法によって、厚さやにじみの出やすさなど性質に違いがあります。
一般に、楷書や篆隷を書く場合はにじみの出にくいものを、行草を書く場合はにじみの出やすいものを用います。仮名を書く場合は仮名用のものを使いましょう。
寸法
画仙紙の寸法には現在でも尺貫法が用いられています。1尺=10寸≒30.3cmと覚えておきましょう。
以下、代表的なものを列挙します。
- 半紙(はんし)
- 8寸×1尺1寸。机上での練習用に最もよく用いられる。
- 全紙(ぜんし)
- 2.3尺×4.5尺。
- 半切(はんせつ)
- 1.15尺×4.5尺。全紙の横幅を半分にしたもの。作品用としては最もよく用いられる。
- 聯落(れんおち)
- 1.75尺×4.5尺。全紙の横幅を約3/4にしたもの。
- 二八(にはち)
- 1.75尺×7.5尺。公募展でよく用いられる。
紙の保存
手漉きの画仙紙は時間が経つほど、枯れて書き味が良くなります。
画仙紙を長期保存する場合は湿度の低い暗所が理想的と言われています。厚紙等で包装し、本棚の上などに置くと良いでしょう。
墨と硯について
漢字を書く場合
墨は磨るのが理想ですが、多くの人が墨汁を使っています。
墨汁を入れるには、硯(すずり)の代わりに「墨池(ぼくち)」という容器を使います。
仮名を書く場合
墨と硯を用意しましょう。墨は茶系・青系があり、小さくて重いものほど良いです。
硯は普通の硯よりも、仮名用の小さい硯の方が使いやすくておすすめです。
硯・墨池の手入れ
硯・墨池は使用後きれいに洗いましょう。おりの荒くなった硯には砥石を使います。
その他の道具について
毛氈(もうせん)
下敷きのことです。漢字を書きたい人は半切サイズのものがあると便利です。厚さは2ミリが良いでしょう。
文鎮(ぶんちん)
重しのことです。大きな紙に書く場合は重いものを使いましょう。
筆巻き
筆の持ち運びに使います。
水差し
固形墨を磨る場合は必須です。
筆置き、筆立て
必須ではありませんが、あると便利です。
ペーパーナイフ
作品のサイズ調整に使います。画仙紙には画仙紙用(書道用)のペーパーナイフを使いましょう。
印について
書道において印を彫る分野は特に篆刻(てんこく)と呼ばれています。通常、書作品には印を押す必要があるため、書と篆刻とは不可分の関係にあります。印材(いんざい)
印の素材のことです。多くの種類があるため、用途に応じて使い分けましょう。
最も一般的な印材は青田石(せいでんせき)で、初心者から上級者まで幅広く用いられます。
印刀(いんとう)
印を彫るための小刀です。切れ味の落ちた印刀は砥石で研いで刃を付ける必要があります。
印泥(いんでい)
いわゆるハンコを押す際に用いられる印肉と異なり、印泥は植物の繊維を原料として作られます。書作品には必ず印が必要なので、印泥は書道をする上で必要不可欠です。
一般に、漢字作品には朱の濃いものを、仮名作品には朱の淡いものを用います。
印褥(いんじょく)
印を押す際に紙の下に敷く台のことです。あると便利です。
印矩(いんく)
印を押す際に用いる定規のようなものです。印の重ね押しに重宝します。
書道用品店 キョー和
早稲田大学から最も近いところにある書道用品店です。
ここではキョー和で販売されている書道用品を少しだけ紹介します。
大筆
- 春日局
- この筆一本でさまざまな書体に使えます。
- 時蔵、ときぞう
- 誰にでも書きやすい。半紙用や仮名用など、色々種類があります。
- 風林
- 毛が硬く、穂先のまとまりが良い。初心者向き。
画仙紙(漢字用)
- 練習用
- 芙蓉箋
- 安くて練習用に最適。厚口もあります。
- 青龍箋
- 若干にじむ。行書・草書向き。
- 練習〜作品用
- 紅星牌
- よく売れている紙。にじむ。
- 銀河箋
- あまりにじまない。漢字・仮名両用。
- 白楽天
- あまりにじまない。楷書に最適。
- 墨んぼ
- 安いので練習用としてはオススメ。
- 玄宗
- 作品用。用途に応じて濃度を選べる。
墨汁
分からないことがあったら、身近にいる先輩に気軽に聞いてみてください!